10月号 デジタル活用の歩みとこれから
デジタル推進委員会 佐々木康浩
デジタル推進委員会は、コロナ禍を契機に発足しました。感染拡大の中で主日のミサや集会が中止や自粛となり、「教会とつながれない」という不安の声が高まりました。そのとき私たちは、ミサのYouTube配信を始めました。最初は限られた機材での試みでしたが、天井カメラの新設や音響の工夫を重ね、今では150回から300回の安定した視聴が続いています。体調に不安を抱える方や遠方、海外にお住まいの方にとって、画面越しに祈りを共にできることは大きな恵みです。
また、集会が難しい時期にはZoomを導入し、聖書典礼の勉強会などが途切れず続けられるようになりました。電子メールによる連絡網も整備し、地区連絡や訃報などを速やかに届けてきました。しかし近年は、迷惑メール対策の強化により、一斉送信が届かないケースが増えています。そこでこの10月からは、公LINEを拡充し、教会事務からの訃報や小委員会からの地区連絡を直接お届けできる体制へと移行します。すでに200名を超える方が登録され、紙のお知らせを減らす工夫も進めています。公式LINEの導入によって、連絡漏れを防ぎ、より迅速で確実な伝達が可能になります。
こうした取り組みは、単なる利便性の追求にとどまりません。いま、世界の教会もITを積極的に活用しています。たとえば米国のある教会では、オンラインキャンパスを整備し、デジタル空間を「教会の延長」として位置づけました。会員専用ポータルや洗練されたウェブサイトを通じて、新たな人々と出会い、地域外に住む人々にも信仰共同体の輪を広げています。単なる情報提供ではなく、デジタルを「入口」として位置づけ、信徒の拡大と関与の深化につなげているのです。
私たち松原教会にとっても、この事例は大きな示唆を与えてくれます。デジタルは「物理的に来られない人への補助手段」であるだけでなく、「教会の門戸を広げ、新しい出会いを生み出す可能性」を秘めています。ミサ配信やLINEでの連絡は、その第一歩にすぎません。これからは、信徒の学びや交流の機会をより豊かにし、地域や社会の中で教会の存在感を深める手段として、ITやAIを積極的に活かしていくことが求められています。
もし私たちが時代の変化を恐れて歩みを止めれば、教会は人々の悩みや不安に寄り添う力を失い、忘れ去られてしまうかもしれません。逆に、ITやAIを神の賜物として用いれば、人々の心に届く新しい宣教の形を切り拓くことができます。
最後にお願いです。デジタル推進委員会の活動は、限られたメンバーで支えられています。YouTube配信、LINE運営、機器メンテナンスなど、週ごとに多くの作業が発生します。ITが得意な方はもちろん、これから学んでみたい方も大歓迎です。どうぞ、この歩みに加わり、共に未来の松原教会を築いていきましょう。
